取組事例Our Approach
2024
DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードの開発
~軽量化と高剛性を両立するバイオマス複合エンプラ~
当社では、循環型社会の実現に向けて市場に求められている性能維持と環境負荷低減を両立する製品の研究開発を進めています。新たに開発中のDURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードは、このような市場のニーズに応える製品です。
DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードの主な特徴
環境負荷の低い「溶剤法」で製造された再生セルロース繊維を採用
セルロースは、持続可能な社会に貢献する非可食性のバイオ資源であり、また大気中の二酸化炭素を吸収するカーボンネガティブな資源としても知られることから昨今大きく注目されています。DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードの開発では、廃棄物をほとんど発生させない「溶剤法」で製造された再生セルロース繊維※1を採用しています。二酸化炭素の排出量も削減できる環境負荷の低い製造法です。
※1天然のセルロースを湿式紡糸により連続繊維として取り出したもの(Regenerated cellulose fiber)。
軽量化と高剛性の両立を可能に
DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードは、軽量かつ高剛性という特長をもっています。樹脂補強材として広く用いられているガラス繊維を使用すると、機械物性が向上しますが、ガラスが高比重であることから複合材の密度が大きく上昇します。一方、セルロース繊維を樹脂補強材として使用すると、密度を大きく上昇させることなく弾性率を高めることが可能です。
表1. DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードの一般物性
図1. DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードとDURACONⓇ POMガラス繊維強化グレードの比較
(密度に対する曲げ弾性率)
POM本来の優れた摺動特性を維持
POMの特長として、優れた摺動特性が挙げられます。しかし、POMをガラス繊維で補強すると、摺動時にガラス繊維が相手材を摩耗させてしまう傾向にあり、高い機械物性と良好な摺動特性を両立させることが困難です。しかし、DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードでは、セルロース繊維による相手材(炭素鋼、S45C)の摩耗が少ないため、高剛性と優れた摺動特性を両立させることが可能です。
表2. DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードの摺動特性
図2. 摺動形態模式図 (鈴木式)
今後の展望
DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードの開発では、DURACONⓇ bG-POM※2の適用や市場から回収したPCR※3材料の活用により、さらなる環境負荷の低減を目指しています。また、材料設計を工夫することで、従来の短繊維セルロース強化グレードでは成しえなかった高強度の実現にも挑戦していきます。
※2 当社が製造および販売している、ISCC Plus認証(国際持続可能性カーボン認証)を取得したマスバランス方式によるバイオマス割当POM
※3 ポストコンシューマーリサイクル(Post-consumer recycled)。市場で使用済みの製品を回収してリサイクルすること
サンプル提供
DURACONⓇ POM短繊維セルロース強化グレードは開発中の製品ですが、サンプルの提供が可能です。お客様自身で製品の特性を確認し、その可能性を探ることができます。詳細は各地区の営業部、またはWEBサイトよりお問い合わせください。
DURACIRCLEⓇ について
当社は、エンプラのリーディングカンパニーとして、エンプラ100%循環化実現に貢献するあらゆるソリューションを対象とした取り組み「DURACIRCLEⓇ」を始動しています。引き続きポリプラスチックスのサステナブルソリューションにご期待ください。
【関連情報】
◆ 「DURACIRCLEⓇ」 サステナブルソリューション特設ページ 10月8日オープン
◆ バイオマスを活用した「DURACONⓇ bG-POM」の生産を開始
◆ サステナブルな技術開発・技術支援