取組事例Our Approach
2023
新たな長繊維セルロース強化樹脂の開発に成功
温室効果ガス排出量の大幅減が可能なPLASTRON® LFT
当社は、バイオマス素材であるセルロースを使用し、通常のガラス強化樹脂に比べ密度が小さく、温室効果ガス(GHG)の排出量を大幅に削減したPLASTRON® LFT(Long Fiber Reinforced Thermoplastics)長繊維セルロース強化樹脂を開発しました。機械物性はガラス強化材料とほぼ同等でありながら環境に配慮した製品開発が可能です。本樹脂は自動車のドアモジュールやセンターコンソール、アームレストの芯材等として採用を見込んでいます。
非可食バイオマス原料かつ樹脂補強材として適した特性を持つセルロース
環境対応材料に必要な要件のひとつとしてバイオマス原料の使用があります。バイオマスとは、石化資源を除く生物由来の有機資源であり、以下の特徴があります。
① カーボンネガティブ(空気中の二酸化炭素を吸収して製造される)
② サステナブル(天然鉱物等とは異なり持続可能な調達原料である)
バイオマス原料のひとつであるセルロースは、生体内において植物や木材の形態を維持・保護する構造材料です。優れた分子構造・高次構造を有していることから樹脂補強材としての使用に適しています。
バイオマス原料の種類
機械物性はガラス強化材とほぼ同等でありながら、温室効果ガス排出量を大幅低減
今回開発したPLASTRON® LFT長繊維セルロース強化樹脂は、廃棄物をほとんど発生させない「溶剤法」で作られた再生セルロース繊維*を採用しています。表1から、溶剤法を採用したPLASTRON® LFT長繊維セルロース強化PP樹脂は、一般的なガラス繊維強化PP樹脂と比較して製造時の温室効果ガスの排出量が小さいことが確認できます。
*天然のセルロースを湿式紡糸により連続繊維として取り出したもの (Regenerated Cellulose Fiber)
表1. 長繊維セルロース強化PP樹脂と一般的なガラス繊維強化PP樹脂との比較
またガラス繊維強化PP樹脂よりも密度が1割近く低いため、同じ体積で比較すると温室効果ガス排出量もさらに少なくなります。
本製品はサンプル提供も可能です。ご相談・ご要望等ありましたら弊社の営業担当、もしくは画面右上の「お問合わせ」からお問合わせください。
※1. 原料については、データベースIDEA V2-3 の値、セルロース繊維メーカーからの値を参照し、押出加工、長繊維樹脂加工の製造時の排出量は0.2 Kg-CO2/kg と設定して計算しました。
【関連情報】
◆ 軽量化と機械強度を両立、環境にやさしいバイオ材 PLASTRON® LFT 長繊維セルロース強化熱可塑性樹脂
◆ 長繊維セルロース強化熱可塑性樹脂 プラストロン® LFT