取組事例Our Approach
2022
軽量化と機械強度を両立、環境にやさしいバイオ材
PLASTRON® LFT 長繊維セルロース強化熱可塑性樹脂
近年、製品開発の場においてもサステナブルな対応が求められており、天然繊維・でん粉・木粉等の植物由来や天然鉱物系の充填材を用いた環境対応樹脂の採用を検討する場面が増加しています。しかし、これらの環境対応樹脂では機械強度が不十分なケースが多くお悩みではないでしょうか。
当社の長繊維セルロース強化熱可塑性樹脂 (PLASTRON® LFT)は「バイオ材を使用したいけれど機械強度は譲れない」といったご要望にお応えする製品です。
特徴
① バイオ原料であるセルロースを使用しており環境にやさしい
② 製品の軽量化ができる
③ 高い機械強度(特に衝撃強さ)を持つ
再生セルロース※1を使用し、サステナブル性と物性バランスを両立
木や草などの植物に含まれるセルロースは地球上で最も多く存在する有機物で、二酸化炭素(CO2)排出量削減効果が期待できる素材です。
樹脂の補強材として使用する場合、天然のセルロース繊維は短繊維のため強度が不十分となります。そこで当社は再生セルロース繊維※1を使用し、物性バランスに優れた長繊維セルロース強化熱可塑性樹脂を開発しました。
※1 天然のセルロースを湿式紡糸により連続繊維として取り出したもの (Regenerated Cellulose Fiber)
密度が小さく製品の軽量化が見込めます
長繊維セルロース強化PP樹脂と長繊維ガラス強化PP樹脂を同じ曲げ弾性率で比較すると、ガラス強化樹脂に比べてセルロース強化樹脂は密度が小さいことが分かります。(図1)
図1:長繊維セルロース強化PP樹脂と長繊維ガラス強化PP樹脂との比較(密度vs曲げ弾性率)
強度アップが期待できるバイオ材PLASTRON® LFT
表1は当社のPLASTRON® LFT 長繊維セルロース40%強化PP樹脂(PP-RF40-02)と概ね同じ曲げ弾性率である短繊維ガラス30%強化PP樹脂の物性を比較したものです。曲げ弾性率はほぼ同じにもかかわらず、シャルピー衝撃強さや引張強さ、曲げ強さなどは大きく上昇しており、製品での強度アップが期待できます。
表1:長繊維セルロース強化PP樹脂と短繊維ガラス強化PP樹脂との比較
CO2低減に加え、廃棄物削減を目指す製品開発への取り組み
セルロースは非常に溶媒に溶けにくいため、多くの再生セルロース繊維は長く煩雑なプロセスで製造されています。このプロセスをシンプルにすることで、さらなるCO2の削減が見込めます。
当社では、CO2排出量の少ないシンプルな製造工程である「溶剤法」を用いた再生セルロース長繊維強化樹脂を開発中です。また、この方法は溶剤をほぼ100%回収するクローズドプロセスであるため廃棄物がほとんど発生せず、さらに環境にやさしい素材となります。
ポリプラスチックスはこれからもサステナブルな社会実現に向けて取り組んでいきます。
詳細は弊社の営業担当、もしくは画面右上の「お問合わせ」からお問合わせください。
【関連資料】
◆ 新しい樹脂化領域を拡げる長繊維強化熱可塑性樹脂PLASTRON® LFT
【物性表】
◆ PP-RF-40-02(L7)
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